ndl – dialy 07,Aug,2007

※この日記はアーティスト・イン・レジデンス”ndl”でプーケット滞在中に書かれたものです。
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ホテルみたいなアパートの一階にはセブンイレブンと食堂とインターネットカフェがあって、今日は起きたらもう13時だったからシャワーを浴びてからその一階の食堂で昼食を食べて、これから昨日の日記を書く。

昨日も起きたら昼過ぎで、15時くらいだったのだけれど、一度朝の7時くらいに前のレジデンスアーティストのみかちゃんが帰るので少しだけ目を開けてバイバイと言った記憶はあるが、そういえば一日しかなかったみかちゃんとの夜の記録は、写真もビデオもまったく撮っていなかった。昨日、遅くまで寝ていたのは日本での最後の夜は一睡もしていなかったしその前や前の日もろくに寝ていなくて、さらに一日大荷物をもって移動していたからその疲れもあったのだろうけれど、今日も遅くまで寝てしまったのは昨日の夜パトンビーチに行っていろんなところでお酒を飲んで、その興奮がなかなか冷めなかったからかもしれない。でもアパートにつくと、すでに「帰ってきた」という感じがして、そのときの東京のボクの家はどんなだったか、いま少し想像したりしている。
興奮と言っても、それは例えばゲイバーのゲイの人たちやパブの女の子たちとお酒を飲んだからだけではなくって、単純にパトンビーチについたときの歓楽街の熱気と、帰るときにはすでに静まり返っていた街の、その温度差や、自転車の視界を何倍もの速度でみるモトに乗ったこととか、なんだかんだで一日ずっと緊張していたんじゃないかと思う。パブの女の子もゲイバーの男の子も、ホントにベタベタ体を触ってくるし、ゲイバー街では一目でゲイですとわかる人たちが店の前で誘ってきて、ボクはそのときスカートをはいて髪を二つ結びにしていたのだけれど、それが悪かったのか、スカートはめくられるしゲイの腕力は普通に男の腕力だからぐいぐい引っ張られてしまうし、そういうのは焦るけれど楽しんでもいたのだろう。普段意識的に抑圧しているものの実態、近づきたくはないけれど手に入れたい、過去のもの。いくらNo thank you と言っても離してくれない、My friends wait for me – OK, i follow you – really? okok, come with me – でもグイグイ引っ張る。入ったのはショーをやってるバーだった。

そのときもずっとオクノと信藤と一緒だったのだけれど、ボクがこの部屋に住むので、昨日は起きてからまずオクノのホテルをとりに行った。PSUロッジはPSUという大学のなかにあるホテルで、ボクはオクノが運転するモトの後ろにのって、信藤のモトを追いかけて大学に向かったが、そこはこのアパートからホントに近くて、ただ急な坂があるから徒歩だと面倒そうだけれど、モトだと5分もかからずにホテルの玄関に着いて、大学生3人に話しかけられる。昨日は5-6人のタイ人の名前を聞いたが、どれも発音が難しく、正直今はひとつも思い出せない。今度からメモしてもらったらいいかもしれない。大学は制服があるみたいで、男女ともに上は白シャツ、下は黒のパンツか膝たけのスカートで、なんだか高校生みたいな感じがして、大学の先生と話した職員室のような場所の雰囲気もやっぱり高校みたいな感じだった。高校みたい、と書いても通じない気がするけれど、職員室の雰囲気は「オフィス」ではなく小学校から高校までちょっと入るのにドキドキした「職員室」だった。3人の大学生は「これから日本語のテストです」と日本語で言って去った。
プーケットにいる間に、ボクはこの大学で「ndl talk」なるものをすることになる。アーティストのプレゼンやワークショップみたいなもので、二時間の中で何をやるか、多少のアイデアはあるのだけれど、大学の先生と会ったときにはまだ信藤には話していなくて、でも先生が日本語を解すからかボクはスラスラと自分のアイデアをしゃべってしまった。その先生は会うなり「タイ人に見えます?」と聞いてきて、それはボクがタイ人に見えるということなのか、それとも「私はタイ人に見えますか?」という意味なのかわからず、というのもボクはタイに言ったらボクはタイ人に間違われるんじゃないだろうかと思っていたからなのだが、それに加えてその先生はあまりタイ人っぽくなく、肌もそれもど焼けていないし太って汗を額にうかべて人懐っこく笑っている彼は、秋葉原の駅前で紙袋をいくつももってハンカチで汗をふきつつ座っていても全然おかしくない。彼とはまた明日会う。明日というのは今日から見て明日で、彼と会ったのは昨日だから、間は一日だけしかないのだけれど、すでに二三日たっている感じもして、それはやっぱり夜の出来事がボクには特殊すぎたからだろう。

ゲイバーではちゃんと振り付けがあって衣装もちゃんとしてて、どこまで変えているかはわからないけれど見た目は女性な人が口パクで歌うショーが幾つかあったあと、白のピチピチパンツだけのお兄ちゃんたちがリズムをとってるだけのステージがずっと続いた。クラブのフロアで好きに体を動かす人たちが、そのままステージの上に上がって、観客はそれを見ることになるのだけれど、次第に踊り終えたゲイたちがボクらの周りにあつまってきて、横に座りキスをしてくる。信藤の横にかなり長いこと座っていた男の子は、とてもキレイな顔をしていて、でも上半身は裸、テカってピチピチの白パンツに白いハイソックスで、でももう変だとは思わなくなっている。Do you have a boyfriend ? – No, i am hetero, and i have girlfriend. and you? – no, i don’t have, i like him – oh, he has a girl friend – oh – listen, but he has no boyfriend – haha – trytrytry
いろいろウソをつくが、これは使いなれていない英語がそうさせるのか、それとも場の雰囲気がそうさせるのか。どちらもだと思うけれど、場の雰囲気なんてのが言い訳に聞こえるのだったら、他の理由があるのだろう。彼とは3週間の間にもう一度お店に行くよと約束した。これがウソになるかどうかはこれから決まるけれど、店の中では写真は撮れないし、写真を撮りたいから外に来てくれとも言ったけれどダメで、ボクがこのまま写真すら撮れない状態でもいいと思うのなら、もう行くことはない。
このゲイバーを出たころには2時くらいになっていたはずで、それからアパートに帰った。ビールを数本とラムコークを2,3杯飲んでいたから、運転はオクノにしてもらってその後ろに乗っていたが、見る風景は何にも似てはいない。ビールを初めに飲んだのは普通のパブで、そこでも腕を引っ張られスカートをめくられ、半ばしょうがなく入ってしまったのだが、テラスみたいな感じのところだからいつのまにか中に居た、という感じで、そこではなぜか髪をとかされ結び直された。その人は美人とは言えなくあまり若くもないと思うが、なんだか親切で、昨日プーケットについて疲れてるんだと言うと、肩をもみ腕をもみ、でも飲み物も2杯分頼まれてしまった。オクノは英語があまりしゃべれないお姉ちゃんとゲームをしていて、それは垂直に立てられた穴の開いたボードの中にコインを交互に落としていき、自分のコインが縦・横・斜めいずれかに四つそろったら勝ちというゲームで、ボクは一回も勝てなかったけれど、オクノは何回か勝ったみたいだった。ボクの肩を揉んでいた女性は、信藤にタイ語でこう言う。「近くには売春婦がたくさんいるけれど、あたしはこのお店のスタッフだからそんなことはしない、でもお客さんにはそういうのを期待して来る人もいて」彼女は「マレーシア」とも言ったけれど、それは何なのかはわからなかった。彼女の名前は、ボムだかアムだかアンだかポンだか、そういった感じだ。

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