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この日記はアーティスト・イン・レジデンス”ndl”でプーケット滞在中に書かれたものです。
ndl
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スタバでカプチーノを飲みながらこれを書いている。カプチーノのトールで85バーツ、ショートだと70バーツで、普通の食堂でも一食60バーツくらいだからかなりの高級品なのかもしれないが、いまバーツのレートがどれくらいか知らないけど、だいたい3~3.5円=1バーツと聞いたので、とすると日本のスタバのカプチーノより安いということになり、なんの抵抗もなく頼めてしまう。
スタバがあるのはセントラルフェスティバルというところなのだけど、ここはモールのようなもので、プーケットの中では高級な感じだそうだ。入り口のドアには警備員がいて、ボクが彼にトイレはどこかと話しかけるとどうやら英語はしゃべれないらしく、でも道を聞かれていることはわかったのか少し奥にある道案内の印を指差して、そこにトイレの方向も書かれていた。ぎりぎりトイレに間に合って、ほっとしてスタバに入ったというわけだ。
2時間くらいはモトでさまよっていたように思う。何回か通ったことのある道に出れたと思っても、いつのまにかまた知らないところに来てしまっていて、昨日の夜行ったクラブのようなところにも着いてしまった。でもそこからどのように帰ったのかは覚えていなくて、彷徨い、Topsと書かれた行ったことのないモールのようなところには3回も出てしまって、あと空港行きの道にのってしまったのは2回だ。プーケットには何カ所かロータリーがあって、その中心にあるオブジェでどのロータリーかすぐわかるようになっているが、一つはたつのおとしごで、もう一つは時計台のようなもので、この数日で両方よく通っているはずなのにボクは全く道を覚えていなかったらしく、ロータリーは道がいくつかにわかれているからたぶん間違った道にいってしまったのだろう、だから辿りつけなかったのだろう、と思っていたのに何回も選んだ道は正解だった。道を教えてくれたのは20歳くらいの若い女の子で、もう彷徨うのに疲れてきたころ、車道の脇に立っている女性に話しかけてセントラルフェスティバルはどこかと聞くと「ちょっとまて」と言われ、そしたらすぐ後ろから一台トラックがやってきてその女の子が降りてきた。最初は「メモを書いてあげる」と今まで会ったタイ人の中ではかなり発音のよい英語で言われ、よかったと思っていると、なにやら車の中の男性と、たぶんお父さんだと思うが、話していて次にはボクにfollow me と言う。言う通りに着いていくと、ボクが何回も通った道を行って、彼女はトラックの荷台に最初ボクが話しかけた女性と一緒に乗っていて、交差点で止まるたびにWhere are you form? Are you alone? or with girlfreid? といろいろ質問してくる。ボクが最初に話しかけた、たぶんお母さんのはずっと、ボクと彼女のやりとりを無表情で見つめ、ときおりボクが行く方向に迷っていると彼女は細い目を開いて指差す。いくつめかの交差点、You go there! だったかなんだったか、そっちだよ! という感じで言われたときには何のことかよくわからなかったが、彼女たちは左に、ボクは右に行って別れ、目の前にはセントラルフェスティバルがあった。トイレに行きたくなったのは、彼女と会うかなり前からだ。
今日はマーとイアンのことを書かなくてはならない。
マーは中学生くらいの女の子で、イアンは56歳の男性だ。マーは屋台の手伝いをしていて、イアンは駄菓子屋のような店の前でタバコを吸っていた。写真を撮っていいかと聞くと、マーは照れて、イアンは笑う。マーは英語はしゃべれない。でも「ポンチュースドー」と自分の名前を言って手を差し出したら、My name is マー、と意外にきれいな発音をする。イアンは英語がしゃべれることを自慢したいのか、べらべらとしゃべる。でもタイ語訛りがすごくて、なかなか意味がわからず、どうやら聞かれていたのは「どこから来たのか」ということらしいと気づくまでに、5回くらいイアンはタイ語のような英語を話す。マーのお店では魚の揚げ物を買って、ソースをつけてもらった。イアンのお店では何も買わなかった。マーの肌はきれいに日焼けしているが黒いというほどではなく、つやつやしていて、イアンは浅黒く深いしわが顔中にある。二人の共通点はとくない。ただ、二人ともボクがカメラを向けたときに笑い、照れて、それからレンズを見つめ笑ったからボクが話しかけたというのだけが一緒だ。
いまスタバに居るのはほとんど外国人で、ボクはいまソファに座っているのだけれど後ろにはボクに背を向ける形で女性が座って本を読んでいる。窓の向こうでは夫婦でバカンスに来ているっぽい30代くらいの男女がタバコを吸ってカップを傾ける。カウンターには金髪のポニーテールの女の子と、茶髪でサングラスを額にあげた女の子が注文した品ができるのを待っている。左腕にタトゥーをした長身で体つきのよい白人の男性がお金をさしだす。
おなかがすいた。ご飯を食べにいかなくてはならない。今日は一人で食べることになるだろう。どこかの食堂でタイ料理を食べるのか、セントラルフェスティバルの中でファーストフードでも食べるのか、スタバを出た瞬間に決めることにする。



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