ndl – dialy 22,Aug,2007

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この日記はアーティスト・イン・レジデンス”ndl”でプーケット滞在中に書かれたものです。
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家という単語も住むという動詞もタイ語でなんというのかボクは知らなく、今日読んだタイについての本の中にはタイ語の中にはパーリ・サンスクリット系の言葉から借用している言葉と土着語があるらしく、サンスクリット系の言葉はもちろん仏教を通じて入ってきたのだろうが、これは漢語を借用してもとからある和語と一緒に使われている日本語と似ている、と書いてあって、今ボクはいますぐにでも家と住むというタイ語を知りたく書きたいのだけれど、教えてもらおうとノックしたドアから出てきたのは「よ」さんで、Sはその向こうで寝ていた。
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そのイベント会場に向かう前、ユースの前でしばらくカメラを回していた。バンコクに来たのはそのためで、やってくるはずの人と初めて会うシーンを撮るために10分ほど待つと、ユースの中から白人の男女が出てきた。二人ともかなり日焼けしていて、男性はタバコを吸うからちょっと待てと女性にいい、彼女は荷物を置いて道路に向かった。残った彼にカメラを向けると、彼は話しかけてきて二人はスイス人だと言い、ボクのカメラを見ながらスイスの国際フィルムフェスティバルに出展するといいとしきりに言う。彼女が戻ってきた。彼はタバコを吸い終え、大きな荷物をユースの前にずっと止まっていたタクシーに乗せているとき、通りの向こうからボクが待っていた人が来た。
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今ボクの家に住んでいる女の子、彼女の名前はブリ子というが、「よ」さんは彼女を紹介してくれた人で、でもボクは「よ」さんとは今まで面識はなく彼女がプーケットに来る事も知らずにバンコクまで会いに行って、上の文章は再び8月17日の日記からの引用だが、このとき待っていたのが「よ」さんだ。「よ」さんを知らないのに何故ブリ子と連絡がとれたかというと「よ」さんとボクの共通の友人を通してで、その友人からはブリ子を紹介したのが「よ」さんだということは聞いていないから、ブリ子とのやりとりの中で「よ」さんの名前が出てきたときボクはふんふん聞いていたけれど「よ」さんの何も知らなかった。ではいま「よ」さんの何を知っているかと言うとやはりあまり知らず、でもブリ子のことを少しだけ教えてもらって、それが東京の家に知らない人が住んでいるというもどかしさと所在なさを和らげてくれるかというと、そんなことはない。
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後ろではオクノがタイ語の勉強をしていて、勉強というか単語を、数字を覚えようとしてベッドに寝転んでいるが、ただ唱えられているだけのまだボクには理解できないタイ語の音はお経みたいにも聞こえ、さっきまで食事していたレストランのテラスでのプーケットはいまはもうこの部屋にはなくて、三人いるこの部屋の今は旅行先のホテルでの寝る前の好き勝手な時間のようで、その中でボクがやる好きなことは日記を書くことだ。
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8月6日の日記から。この時のレストランに今日はSと信藤と「よ」さんと四人で行き、念願のカレーを食べることができた。カレーは最高においしい食べ物なので日本では頻繁に食べていて、中でもタイ料理屋のグリーンカレーはどこの店でも大抵おいしいのでタイに行ったらさぞかしおいしいカレーにありつけるだろうと期待していたが、今日まで一度もカレーは食べていなく、でももうグリーンカレーをタイ語で言えるようになったからこれからはほぼ毎日カレーを食べるだろう。今日のカレーで唯一の不満があるとすればパクチーを使っていなかった事で、そのかわり何かのハーブがふんだんに入れられていて、なるほどパクチーを入れては味がぶつかると納得はいったけれど、ボクはやはりパクチーが好みだ。8月6日はボクがプーケットに着いた日だがタイ語はいまでも全く聞き取れず、でもタイ語の数字を聞き取ることくらいはできるようになって、今ここは何度も書くがもうホテルでは決してない。この日は前のアーティストのみかちゃんにとっては最後の夜で、そして今日は信藤がプーケットを出る前の日だ。彼は今ボクの部屋でパソコンに向かっている。
レストランに行こうとモトを走らせた直後Sが電話をし始め、最初はボクに話しかけているのかと思い声を聞こうと耳をすますと風の音ばかり、それは西新井橋を渡り終えて家に向かう途中の坂を自転車で下るボクを想像させ、ボクは次第に知らない誰かに変わりながら交差点の前で止まった。モトの後ろに人を乗せて運転することになんの恐怖ももたなくなった今、次に自転車に乗ったときに感じる風は新鮮なものになっているのだろう。Sは電話を終えてボクをナビゲートするが、ボクはすでに道を覚えていて、初めて一度も間違わずにクロックタワーまでたどり着いた。

夕刻、調子の悪いモトをバイク屋に持って行ったら、エンジンを思いっきり吹かした後になんでもないと言われ、結局ボクはそのモトにそのまま乗っている。その後行ったのはBigCで、スーパーマーケットで水を沢山仕入れに行ったのだが、車が全くない駐車場で日が落ちて行く中サッカーをやる少年たちをしばらく撮影していると、後からやってきた幾人かの少年の一人が地面に座り、他の少年がボールを蹴るのをじっと見ていた。少年はやがて立ち上がり自転車に乗る。ボクはカメラを止め、モトに跨がる。モトは便利だ、速いし疲れない。でも一番美しい乗り物はやはり自転車だと、ペダルを前のめってこぐ少年を見て思う。
家に着いたらカギがなかった。ノブを回すとドアは開いて、ボクはカギを探し始めた。まだ見つかっていない。

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