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この日記はアーティスト・イン・レジデンス”ndl”でプーケット滞在中に書かれたものです。
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パオくんのお母さんはプーケットタウンにあるモールの向かいでコーヒーの屋台をしていて、今日は外で2杯コーヒーを飲んでいたから注文するつもりはなくただプレゼントを渡しに行こうと向かったのだが、20時半、すでに店には灯りはなく椅子やテーブルも片付けられていて、でも人影があったのでモトを止めるとエプロンを外したお母さんはボクを見て驚いた顔をして、ボクが誰かすぐ気がついたようだった。パオくんに会った日、ボクはトークイベントの準備で忙しくて日記のために書き留めたメモしかない。
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食事をしに行く。クロックタワーの近くモールから一本裏道に入ったところ、歩いて行く。地元の人たちが沢山。Fried crab with carry powder、おいしい。でも食欲がなく残す。帰りにコーヒーの屋台に。モールの前。パオくんに会う。細長い風船を糸が絡まっているようにつなぎ合わせて持ち手をつけたようなものを持っている。アイスカプチーノはよい。カメラを向けるとポーズをとる。何回もポーズを撮り、その度に画像を見せ、また写真を撮れとねだる。風船を組み合わせたものの持ち手はストローだった。
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8月11日に撮ったパオくんの写真をキューブにして組み立てたものを用意していたのだが、いつのまにかなくなっていて、でも今日はそのときまで誰かに出会うために考えた新しいプロジェクトが失敗続きで、このまま誰にも出会わずに今日を終えたら続ける気がなくなってしまう気がして、帰ってきたばかりの部屋の中、急いでパオくんの写真を印刷して持って行き英語が少しだけできるそのお母さんにプロジェクトの説明をし協力を仰いだところ、快く引き受けてくれ、意気揚々とモトに向かうと、ボクのモト、マンチェスターに知らない人が跨がっていた。It’s my moto. Oh, OKOK, please give me a key. ??? It’s my moto, hahaha. Oh, you lie, hahaha. とモトに跨がったおじさんと話していると、隣にいた2人の男性がビデオカメラを見て何を撮っているのかと聞いてきたので、ここでもプロジェクトの説明をしたところ、一人がタイスタイルハウスを書きはじめた。2LDKの平屋で、ボクのプロジェクトはボクがどんな家に住んでいるかをイメージしていろんな人に書いてもらうというものだが、彼はあまりイメージ云々ではなくただタイによくある家を書いたにすぎないような気も少しして、それでも説明をしてすぐに書いてくれたのはとても嬉しく、書き終えた彼は金髪の若い外国人観光客のカップルを見ると「トゥクトゥク?」と言って近づいて行った。
昨日はどうしても寝れなくて朝の8時くらいまでネットで音楽を物色し、その後少し横になっているとノックの音、「よ」さんが荷物を抱え頭にタオルをのせて立っていた。小さなトランクがどれくらいの重さかわからないが、背負ったリュックを合わせてもボクのトランクの半分くらいだろう。タオルをとらないまま、車に乗り込む彼女にとってプーケットは旅行先だったはずだ。家と旅行を対にして考えるのにすでに飽き初めてはいるけれど、膨らんだリュックの中に入っているのは無骨なビデオカメラなどではなく、ふせんを貼ったガイドブックや手に収まる一眼レフや日焼け止め、ボクが持ってきていないものが詰まっている。ぼんやりしたまま見送りをすませた後、再び横になって次に起きたのは昼過ぎ、昼食を食べに向かったのは大学の前のいつものお店で、いつもそこは大学生で賑わっているから誰かを捕まえてボクの家を書いてもらおうと思って一眼レフもビデオカメラも持って行ったが、大学生は一人もいなかった。今日が休日だと気づいたのはその後向かったBigCのミスタードーナツで、ここでも隣に座った誰かにボクの家を書いてもらおうと思っていたが、テイクアウトの客ばかりだしホットコーヒーがないというのでアイスコーヒーを注文するとミルクと砂糖がたっぷり入っているし、結局コーヒーはほとんど飲まずに30分で店を後にして、うまいコーヒーを飲まなければと向かったのはセントラルフェスティバルのスタバ、ここで2時間粘り5組ほどに声をかけたが「忙しいから」と断られ続けて、Sからメールが来たのを言い訳に家に帰ってパオくんの写真に続くが、その前にセブンイレブンで新聞を買った。紙面をめくるとボクが撮った信藤の写真が大きく掲載され見開きでplatrが紹介されていた。ボクは記者に”I don’t want to hurry,”と言ったそうだ。それはいまもそうだ。
おじさん三人と別れまっすぐにアパートに向かう。部屋と書くべきか、家と書くべきか迷ってのアパートだ。このアパートでボクのことを知っているのはたぶん2人で、一人はS、彼女はplatrのスタッフだから当たり前だが、もう一人隣に住んでいる女性は少なくともボクがアーティストで日本人でスドということは知っている。彼女がいつからこのアパートに住んでいるかはボクは知らないけれど、今日ボクと話すまで、この部屋に日本人が入れ替わり住んでいることは知ってはいてもそれが若手のアーティストだという事は知らなかったようで、興味があるのかいろいろなことを聞かれた。同じく、ボクもどんな人が住んでいるのかまだ全然知らないし彼女のことも知らなかったが、一度だけ顔は見た事がある。8月14日の日記から。
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その子はノックをして部屋に入ってきて、ベランダから隣の部屋に渡った。ドアには Knock! Feel free to say “Hello!” と書いた紙が貼ってある。ノックをしたのは今のところ、その女の子一人だ。
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プロジェクトの名前は決めてはいないが、説明するときには”How does my house be like?”とそのタイ語訳が書かれている紙を、まず見せる。ボクはボクの家がどんなだかわからないので誰かに教えて欲しい。日が進むにつれ知りたい事は増えていく、もしくはわからなくなっていく。ノックをした人数は変わらない。誰もノックしないならボクがしよう。「コートークラップ(すいません)、サワディークラップ(こんにちは)、ホッグコーグポンユーティーナイ(わたしの部屋はどこですか)?」十全。



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